経営承継円滑化法。佐藤徹税理士事務所 会計事務所

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佐藤徹税理士事務所の税務情報

以下は、当税理士事務所の税務情報の一部抜粋となります。

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経営承継円滑化法 贈与株式を遺留分から除外


中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」(経営承継円滑化法案)がさきごろ可決、成立しました。同法は、中小企業における事業承継を円滑に進めるため、遺留分に係る特例を2点設けたものです。  一つは、「生前贈与株式を遺留分の対象から除外」。これは、被相続人の生前に、後継者に贈与した株式については、遺留分減殺請求権の対象外とするもので、相続に伴う株式分散を未然に防止することができます。さらに、従来は遺留分を放棄する場合、後継者以外の相続人全員が個別に家庭裁判所の許可を得る必要がありましたが、この手続きを後継者が単独で申立てできるようにしています。

 もう一つは、「生前贈与株式の評価額を予め固定」してしまうという措置。もし、後継者自身の能力、努力によって会社の業績が上がり、後継者に生前贈与された株式の価値がかなり上昇した場合、遺留分の算定に際して、相続開始時点、つまり株式の価値が上昇した後の評価で計算された場合は、株式の価値を上昇させた「後継者の貢献」は考慮されません。そこで、遺留分を算定に際しては、生前贈与された株式の評価額を贈与時のものとするとしています。

 ちなみに、円滑化法は今年10月1日の施行となっており、この民法上の特例については、円滑化法附則において「公布から1年以内に施行する」とされています。
2008年5月20日更新

《コラム》非上場株における相続税の納税猶予制度

      

非上場の自社株の相続に関しては、農地の相続のように、農業相続人に対する「相続税の納税猶予」のような制度は存在しませんでした。そこで、今般、中小企業庁の肝いりで創設された「中小企業における経営の円滑化に関する法律」とあいまって、「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設されることになりました。そこで、この制度の概要とその問題点について若干ふれてみたいと思います。

(1)自社株対策は不要になったか
 専門誌等では、この税制の導入で自社株の対策の重要性は薄れたと報じていますが、本当にそうなのでしょうか。
 改正案では、自社株の80%の相続税を納税猶予すると言っていますが、これは発行済株式数の3分の2が上限です。ですので、割合的には53%程度しか対象になりません。
したがって、従前と同様に何らかの対策(社員持株会の創設等)が必要なのではないでしょうか。

(2)株式保有の要件
 改正案では、相続税の納税猶予は、相続人が死亡時まで保有し続けた場合等一定の場合には免除となっていますが、成就しがたい要件です。農地でさえ20年間農業を継続すれば納税猶予は免除されることになっています(三大首都圏の農地は除く)ので、農地と比較すると厳しい要件です。

(3)被相続人と後継相続人の要件
 被相続人及び後継相続人は、同族関係者と合わせて50%超保有、かつ、同族関係者(後継者を除く)の中の筆頭株主である代表者であることが要件となっています。しかし、この同族関係者ですが、親族の範囲より狭められてしまうと、要件を満たさなくなりこの制度の適用が受けられないことも想定されます。

(4)その他の諸要件
5年間の代表者及び事業並びに雇用の80%の維持継続要件等がありますが、これも成就しがたい厳しい要件です。
なお、改正案の施行日は、平成21年度税制改正で創設し、平成20年10月1日より施行となっていますので留意が必要です。 2008年5月20日更新

新たに創設される中小企業の経営承継円滑法


事業承継においては、現オーナー経営者の保有する株式等の事業用資産を円滑に後継者に承継することが重要です。

 しかし、経営者の個人資産のうち自社株や事業用資産が3分の2以上の割合を占めている現状では、生前贈与や遺言を活用して事象承継対策を実施しても「遺留分の制約」(遺留分とは、配偶者や子供に対して最低限の資産承継の権利を保障する民法上の制度で、原則、法定相続分の半分)が存在するため、後継者に経営権を集中させることが困難です。その結果、事業の廃業、雇用の喪失、地域経済の衰退等を招来させている原因の一部にもなっています。
 そこで、中小企業庁は、この現状を少しでも打開するために「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」を創設しました。この法律の骨子は次の通りです。

(1)遺留分算定基礎財産からの除外等
 この法律の特徴は、「遺留分に関する民法の特例」です。その内容は、合意によって
@ 先代経営者から後継者へ贈与された自社株その他の一定の財産について、その全部又は一部を遺留分算定の基礎財産から除外できる(除外合意)
A 生前贈与株の全部 又は一部を贈与時等の評価額で予め固定できる(固定合意)制度の創設
 これによって、事業承継に不可欠な自社株等に係る遺留分減殺請求を未然に防止できます。

(2)具体的な「合意」要件
 上記(1)の合意は、特例合意と言って次の要件を満たさなければなりせん。
@ 先代経営者の推定相続人全員の合意
A 書面によること
B 特例合意の対象となる株式等を除くと、後継者の議決権比率が過半数に達しないこと等

(3)その他諸手続き
 推定相続人間の合意後、1ヶ月以内に「経済産業大臣の確認」及び「家庭裁判所の許可」(いずれも後継者の単独申請)を得ることで、合意の効力が発生します。
後継者が単独で申請を行うことができるため、遺留分放棄制度に比して、非後継者の手続きは簡素化されています。
2008年5月20日更新

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